

この記事の内容
はじめに:体験談・実際にいた「データが汚い先輩」の話
私がまだ某スタジオに所属していた頃にとても憧れている先輩がいました。
作るものがめちゃくちゃかっこよくて憧れていたんですが、自分でAEがある程度出来るようになってふと気づいてしまったのです。

先輩は「何かを作る」のはバリバリできるのですが、データが汚いせいで他の誰も代わりに修正をすることが出来ず・・・。
また、自分でも「何をどうしたのか」を思い出すのに時間がかかってしまっていて、修正作業はめっぽう遅かったのです。

憧れだった先輩に「データ汚いですよ」なんて言える勇気は当時の私には無かったので、結局その先輩はその後もずーっとデータが汚いままでしたが、
私は密かに「データが汚い先輩って後輩から思われたら嫌だな・・・」と思ったので、それ以来「きれいなデータを作るマン」になろうと心に決めたのでした。

プロが伝授!きれいなデータを作るポイント・10選
「きれいなデータを作るマン」の私がおすすめするポイントは10個あります。
多いと感じる人もいるかもしれませんが、1つ1つは簡単な内容で、今日からすぐに実践できるはずですよ!
- ひとつのコンポジションで完結しようとしない
- コンポジションには名前を付ける
- 調整レイヤーを使う
- 処理として重ねていい「レイヤー数」を自分で決めておく
- ラベルを使う
- レイヤーの名前を決めたり、コメントを付ける
- 「無駄なエフェクト」をかけない
- 使っていない素材は消す・同じ素材を何度も読み込まない
- 誰も使ってないマイナーなプラグインを使わない
- レンダーキューは一番左がおすすめ・使っていないコンポジションは閉じておく

1.ひとつのコンポジションで完結しようとしない
会社の仕事で「テンプレートのデータ」がある人は大丈夫だと思いますが、何でも一つのコンポジションで完結しようとするのはやめましょう。
アニメで使うデータを例に出すと、シーンごとに
- 最終的にレンダリングするコンポジション
- 撮影処理(シーンに合わせて明暗表現など)をするコンポジション
- カメラの動きを付けるコンポジション
- 素材を入れるコンポジション
などだいたい最低でも4つのコンポジションで構成されています。
「ここは何をするコンポジション」というのが明確になっていれば、どのコンポジションで作業すればいいのかが明確になるのでかなりわかりやすいデータになります。

「後から整理する」プリコンポーズの仕方はこちらの記事を参考に
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-
【プリコンポーズ】レイヤーをまとめてコンポジションを作る方法【レイヤースッキリ】
続きを見る
2.コンポジションには名前を付ける
コンポジションを分ける、と紹介しましたがコンポジションには「何をするコンポジションなのか」「何を作ったコンポジションなのか」が誰が見てもわかるように名前を付けておきましょう。
例えば、
- 最終的にレンダリングするコンポジション → 00_render_comp
- 撮影処理をするコンポジション → 01_satsuei_comp
- カメラの動きを付けるコンポジション → 02_camera_comp
- 素材を入れるコンポジション → 03_sozai_comp
頭に00や01など数字をつけることによって、【プロジェクトパネル】でも順番に表示することが出来ます。
最悪、素材として作ったコンポジションなどは名前はなくても良いと思いますが、せめてメインで構成されているコンポジションだけはしっかり名前を付けましょう。

3.調整レイヤーを使う
同じ処理なのに、わざわざエフェクトをコピペで全部のレイヤーに一つずつかけるのをやめましょう。
調整レイヤーでかけるのがスマートですが、プリコンポーズしてからエフェクトをかけても良いです。
調整レイヤーならどのレイヤーを調整すればいいかもわかりやすいのでおすすめです。
調整レイヤーの使い方はこちらの記事を参考に
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-
【調整レイヤー】エフェクトを「複数のレイヤー」に一気にかける方法。
続きを見る
4.処理として重ねていい「レイヤー数」を自分で決めておく
実写動画ではあまりないかもしれませんが、アニメを作っていると素材をたくさん重ねて絵を作りこむことが結構あります。
例えば、
- 元の素材
- 元の素材をぼかして「加算」にしたもの
- 元の素材をチョークなどで縮めて色を変えて「加算」にしたもの
を重ね合わせて炎を作ったりします。グローエフェクトなどでは思ったようなきれいな光にならなかったりするので結果このように重ねるのですが、それなりに重くなってしまいます。
謎の魔法やビームなんかも作ることがありますが、物によっては炎のようにどうしてもレイヤーが3つくらいではおさまらないものもあったりします。
そういった場合は「自分が対応できるレイヤー数」までで作りこむようにルールを作っておきましょう。
自分の場合は「目標は3つのレイヤー内、多くても5つまで」としています。

5.ラベルを使う
ラベルはレイヤーごとに色を付けられるので「素材の種類ごと」に色分けするのがおすすめです。
例えば、自分の場合だと
- 背景になる素材は緑
- キャラクターなどの素材はオレンジ
- 周りを飛び回るエフェクトなどはピンク
- 画面の色味を調整するレイヤーは紫
などで色分けしています。自分でわかりやすいように色分けしてみましょう。
6.レイヤーの名前を決めたり、コメントを付ける
レイヤーが大量にあって、どうしてもどれがどのレイヤーかわかりにくくなってしまう場合は
レイヤーの名前を変えたり、コメントを付けることでわかりやすくなります。
全部に付けるのは大変かもしれないので、重要なものだけに付けてもかなりわかりやすくなりますよ。

7.「無駄なエフェクト」をかけない
カラー補正で暗くした後に、また別のカラー補正をかけて明るくしている
など、無駄なエフェクトを無くしましょう。
補正の処理を見直すことでデータが軽くなることが結構あったりします。
8.使っていない素材は消す・同じ素材を何度も読み込まない
すでに読み込んでいる素材をまた読み込んで別のコンポジションで使ったりするのはやめましょう。
これはデータがごちゃごちゃ過ぎる典型的なパターンかもしれません。

プロジェクトパネルでもフォルダを作って整理できるようになっているので、素材ごとにフォルダ分けするとわかりやすくなります。フォルダ整理とあわせて、使っていない素材は消してしまいましょう。

9.プラグインに注意
個人制作なら何を使っても全然アリですが、チームで作業するときは「プラグイン」に注意しましょう。
相手が持っていないプラグインを何気なく使うとデータを共有した時にもれなくエラーになります。
便利だから、かっこいいから、と何でもかんでも使うと相手にもプラグインを揃えてもらう手間(有料の場合はコスト)がかかるので気を付けておきましょう。

10.レンダーキューは一番左がおすすめ・使っていないコンポジションは閉じておく
コンポジションを開きすぎて「レンダーキュー」がどこにあるかわからず迷子になる人を今まで結構見てきました。
タイムラインパネルの左側の方においておけばいつでも同じ位置にいてくれます。
特に用のないコンポジションは閉じておくとそれだけでもスマートなデータに見えるのでおすすめです!
まとめ:今日からあなたも「きれいなデータを作るマン」!


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